※結構長いのでお時間があるときにでも御覧ください。
目次
- タキシードを含む礼服の種類
- 結婚式でしか見かけないタキシードとは?
- タキシードのデザインと歴史
(1)タキシードを含む礼服の種類は、大きく3種類
ここではタキシードを筆頭に、そもそも大きな行事で男性が着る洋服ってどんなのがあるの?という点にフォーカスしてみたいと思います。
と、その前に皆さんに知っていただきたいことが、新郎が式典などで着用する礼服(礼装)は3種類に分けられるということ。
その3種類とは正礼装、準礼装、そして最後が略礼装です。
紹介順に礼装としてのフォーマル度が高いのです。
式では基本的に主賓や主役が正礼装や準礼装、参列、従者は略礼装というのが一般的なルール。(古いルールではありますが)
「相手(場所)への敬意を体現し役割を伝えるための礼装」ということです。
① 格式高い「正礼装」 -モーニング、テイルコート-
ドレスルールにおける正礼装とは、昼:モーニング、夜:テイルコート(燕尾服)を指します。
昼: モーニング(コート)とは?
モーニングという名の通り、夜間には着用されない昼の礼装のことで、第一ボタンから裾にかけて切ったようなラインから、別名カット・アウェイ・フロックコートとも言われます。パンツはグレーの縞模様のコールパンツが正統派。
19世紀中頃に昼間の正礼装に制定されたのですが、現在では見た目のインパクトが強いせいか、結婚式ではお父さんが貸衣装として着る場合や、叙勲や授章等で宮中に参内するときぐらいですかね。新郎が着ている例はあまり見かけません。
例外的にですが、先日モナコのイケメン王子 ピエール・カシラギ王子がご自身の結婚式で着用していたのを見ました。
ネクタイの色やジャケットの色は正式なモーニングのルールとは若干違いますが、デザインはまさにこれがモーニング。
夜: テイルコート(燕尾服)とは?
燕尾服は前身頃が短く、切れ込みが入っていて、後ろ身頃がツバメの尾のように長くなっているデザインの衣装。尾だけにテイルコート(Tail coat)と言われます。
テイルコートはジャケットとパンツ以外は白で纏めるのがルール。また白い蝶ネクタイを用いることから、ホワイトタイとも呼ばれます(一方で、タキシードはブラックタイです)
昔は天皇陛下なども参加する宮廷晩餐会の「夜の正礼装」=「ホワイトタイ」だったのですが、現在は「ブラックタイ」(タキシード)に変わりました。そういう意味では(タキシードが正礼装として認められた or 正礼装は大袈裟すぎる)ということでしょうか。
こちらも新郎が着ている例はほとんどないです。。。が、先のピエール・カシラギ王子は夕方からの結婚式できちっと着用。流石。
② 「準礼装」 -ディレクターズスーツ、タキシード-
時代柄としても正礼装は新郎が着用するにはちょっと難易度が高めなことがお分かりいただけましたか?
続いては20世紀に確立された準礼装にいってみたいと思います。
男性の準礼装は昼はディレクターズスーツ、夜はタキシードです。
ディレクターズスーツとは?
出典:楽天
ディレクターズスーツの由来は、第2次大戦前に欧米で流行した重役(ディレクター)の執務服です。日本におけるディレクターズスーツは、1990年代始め頃に、普通のブラックスーツの上着+ベストにパンツはコールパンツと呼ばれる縞の入ったグレーのパンツを履くようになりました。
こちらモーニングに比べると着こなしの難易度は低く、日本ではわりと一般的ですが、海外のウェディングでは近年はあまり見かけません。新郎のお父様が着用なさることはよくあります。
タキシードとは?
弊社でオススメしているのが所謂タキシード。
本来は昼のディレクターズスーツに対して、夜のタキシードという立ち位置でしたが、時代は変わり、グローバルに見ても今では昼からの結婚式に於いてもタキシードを着用するのは全く気にならなくなりました。
<タキシードってそもそも何?という方はこちら>
→結婚式が決まったら?新郎が知っておくべき「フォーマルウェアの基礎知識」
こちらも現代ではルールが緩和されていて、特にウェディングの場合は一部のルールを残して好きなように着ていいと思います。
③ 参列にはコレ「略礼装」 -ブラック、ダークネイビースーツ-
結婚式で列席者の多くが着用するブラックスーツ。これはもうおなじみですね。
一般的に日本では参列用ですが、実は海外ではブラックスーツで挙式する人を多く見かけますし、実際「タキシード or ブラックスーツどっち派?」みたいなトピックもよく話題になります。
特に海外の方は結婚式でブラックスーツを着用する際に好んで黒のネクタイを締めます。日本は葬儀のイメージが強くありますが、実はブラックタイ×ブラックスーツも立派な礼衣装です。
2)結婚式でしか見かけない、あの独特な衣装とは?
さて、上記の正式な礼装のルールとは別に、日本独自企画で1970年後半に生まれたのが、 ロングタキシード、ファンシータキシード、フロックコート の御三家。
こちらはフロックコート。本来修道士と呼ばれる敬虔なクリスチャンや、農民が来ていた外出着のことで、日本ではナゼかこれが結婚式の衣装になっているという現状です。
バブル時代の日本では欧米式のウェディングドレスを着る結婚式が浸透しましたが、この時のドレスの華やかさに負けないようにと仕掛けたスタイルであり、当時のウェディング関係者が作った不思議な遺産と言えるでしょう。
男性は凛と佇み、純白の花嫁をスマートにエスコートする姿とは、少し違う雰囲気がします。
ギラギラの光沢感が、ちょっと水っぽい雰囲気のファンシータキシード。
タキシードなのかフロックコートなのか、独特なデザインです。
このタキシードの丈が長くなったフロックコートとの間の子がロングタキシードと呼ばれているようです。
ファッションは自由なので細かくは言いませんが、少し幼いのでは?と感じてしまいます。
【ちょっと一息】:何故新郎はタキシードを選ぶのか?
ブライダル総研(リクルート)の調査によれば2015年の結婚式の男性衣装の89%はタキシードだったとのこと。もちろんその中にはファンシータキシードのような部類も入っていると思いますが、何故タキシードが選ばれるのか不思議ですよね?
一つはフォーマル概念のカジュアル化
その理由として一つは結婚式という儀礼がカジュアルになりつつあるということ。フォーマル先進国のアメリカではスーツで挙げちゃう人もいるくらい、一部を除き日本でも昼はモーニングで、夜は燕尾服を着なければ、といったそこまで厳しいルールはありません。
かしこまった規律の多い正礼装ではなく、より手軽に礼装を楽しめるタキシードが一般的になってきている傾向だと考えられます。
メディアの影響も
最近見たセレブリティのレッドカーペット事情でも夜のパーティーだからと燕尾服を着るのは少数派。
このようなセレブリティのスタイリングを雑誌が取り上げ多くの人が目にします。
最近のメンズ誌でもタキシードの特集はあっても、モーニングや燕尾服、ディレクターズスーツの特集は無いのです。
そういった現状も踏まえてTHE GENTSでは新郎へ挙式衣装=タキシードを推薦しています。
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