本日は花婿さんに向けたお話を。
今までの結婚式の参列では、とりあえずスーツを着て行けばなんとかなっていましたが、結婚式の新郎ともなると何を着たら良いのか、様々な情報がネット上に飛び交い混乱してしまうこともしばしば。
まずは歴史、文化を知っておく。
まずはフォーマルウェアに関する考え方を簡単に。
フォーマルウェアは近世ヨーロッパの貴族の衣装に端を発し、古い歴史があります。
彼らは身なりへの意識が高く、時間や場所に応じ一日に何度も着替えるほどでした。
貴族同士の社交界では誰よりも優れたように見せるため、より美しい衣装を身につけ皆必死に競いあっていたそうです。(今でもこういう人はいますね)しかし、その中でも皆きちんと場所に合わせ、その場に応じた服装(ドレスコード)だったということから、フォーマルの概念が生まれていったのでしょう。
現在は欧米諸国が大衆への影響が強く、基盤となっている傾向があるように感じます。
一方でファッションが進化するように、激しい変動ではありませんがフォーマルウェアもゆっくり進化しています。
進化の源泉になるのは、デザイナーやセレブリティ、著名人やメディアだったり。影響力、露出の高い人達が新たなフォーマルウェアのスタイルや流れを作っていきます。
進化、発展を受け入れる
決して変化を「歴史軽視」と騒いでこれを無視するのではなく、俯瞰しながら必要な要素を取り入れていくべきだとTHE GENTS は思っています。
この仕事をしていると様々なトレンドを感じることがあります。しかしそれらを全てを鵜呑みにせず、その中でどれが仕掛けられたトレンドなのか否かという判別するインスピレーションは大事にしています。
フォーマルウェアの基礎知識
フォーマルの定番となったタキシード
■タキシードとスーツは何が違うのか?
似てるようで似てないこの二つ、実は仕立て方が違います。
①生地はタキシードクロスと言われる色の濃度の高い黒でしっかりと織り目の詰まったものが一般的。重厚感とシャープな色合いが特徴です。
②襟には拝絹と呼ばれるサテン生地が使われる、これは昔のジャケットのデザインディティールです。
③襟型はピークドラペルと呼ばれるデザイン(↑)か、丸襟のショールカラー
④釦はくるみボタンと呼ばれる共生地で包んだ釦です。
⑤シングルブレスト、フロントボタン穴は1つ止め
⑥パンツには側章と呼ばれるサテン地のサイドラインが入る、裾口はシングルカットに。
⑦ベルトではなくサスペンダーでウエスト位置を固定、さらにカマーバンドを装着し装飾性を高める。
⑧ネクタイはボウタイ、セオリーはブラック。
⑨靴はパテントシューズ(プレーントゥ、オペラパンプス)を履く。
⑩シャツの袖はダブルカフス、カフスボタンを留める。
⑪ピンタック入りのシャツ
⑫ポケットにフラップ(蓋)を付けない。(写真は通常のフラップ付き)
⑬ジャケットにベント(切れ目)は入れない。(写真はベント有り)
このような要素がタキシードの条件になります。
■全て満たさないとタキシードではない、ということはない。
ここで注意すべき点が「これらを全部満たすのがタキシード」というわけではありません。
例えば「パンツに側章が無いからタキシードじゃない」というわけでもないし、「くるみボタンじゃないからタキシードじゃない」というわけでもありません。タキシードとは着こなしの総称名でもあります。
あくまでタキシード(礼服)の条件の一つに上記があるという解釈でいてください。
■多くの結婚式ではタキシードの着用率がダントツ
2015年ブライダル総研によれば、2014年タキシードを着用した人が第一位で88.7%。08年は69.5%でしたから約19%もタキシードを着る方が増えているということです。
ちなみによく衣装を検索すると出てくる”フロックコート”や”燕尾服”を着用した人はそれぞれ6.6%、3.3%とごくわずか。
そういった世の中の需要からTHE GENTSではタキシードをオススメしています。
流れがくればフロックコートなども良いのですが、ファッションに敏感な皆さんはどうでしょうか?
■レンタルが主流だがオーダーメイドは確実に増える(べきだと思う)
ブライダル総研によれば95%近くがレンタルを選択していますが、そもそもタキシードを含めたテーラリングファッションはフィッティングを重要とするものなので、オーダーメイドは欠かせない分野だと考えております。
知り合いの旦那様は海外勤務の際、多くの会食やパーティーなどに参加されるそうですが、海外の方は全員自分のタキシード持っていてびっくりしたと言っていましたが、、、そんなものだと思います。
■現代では昼も夜もOK
よく結婚式のサイトに書かれているのがタキシードは夜間の準礼服であるから夜のみ着用する。というもの。
そんな文言をあざ笑うかのように、海外ドラマやスナップでよく着用しているのが印象にあります。これがフォーマルの進化です。
■タキシードのアクセサリーのアリ or ナシ
余談ですが、タキシードといえば蝶ネクタイ、そしてウエストに取り付けるカマーバンドをイメージする方もいらっしゃるかと思います。
元々はチケットや小銭を入れる用途があったようですが、インターナショナルファッション誌 GQでは「ダサい」と書かれていました。が、
カマーバンドを付けているからダサいというわけではなく。先日のNYFWでは影響力のある有名デザイナーがさらりとかっこ良く付けて注目されていました。ファッションとは面白いもので、人の意見を全て受け入れてしまうのではなく、自分らしさを養う事が重要だと思わせてくれます。
というわけで長くなってしまいましたが、、タキシードについて理解深まりましたでしょうか?
他にも様々な記事を公開しています。
そちらも是非参照なさってください。