蝶ネクタイ、チーフ、結婚式小物の製造現場の裏側

本日は午前中から日本橋で蝶ネクタイの生産の打ち合わせでした。 タキシード、スーツ、シャツはオーダーでお仕立て頂きますが、蝶ネクタイ、チーフといったアクセサリーについてはオリジナルで生産しています。

image1 今回はドット(水玉柄)を2型と、ブラック、ネイビーの無地を各色仕様違いでオーダー。

これまではダービー(手結び仕様)でお作りしていたのですが、蝶ネクタイの手結びというのはなかなか難易度高めなようで、「デザインや色はいいんですが・・手結び出来ません」というお声も多く、今回ホック式のものをこしらえました。

手結びは ①蝶の部分の大きさを自分で調整出来る ②手結びならではのナチュラルなボリューム感があってエレガント ③またシャツを開襟してラフな着こなしのアクセサリーとして使える

などメリットもあるのですが、ネクタイよりも少し結びが難しいのです。(結婚式場で結んでくれるところもあります)

※こちらジャスティン・ティンバーレイクとJAY-Z&007のダニエル・クレイグ 結婚式二次会ではこんな外し方もオシャレ。

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もちろんホック式は簡易とはいえ、使用する生地のクオリティーや結びのバランスなどがしっかりしていれば全く問題はないですから、新郎様ニーズとして今回生産することにしました。

生地は前回同様、京都の西陣で織った本シルク100%を使用。

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学生時代、”ヒトヨムナシイ”と暗記した応仁の乱(1467年)。この時に西軍が構えた本陣の名前に由来するこの地域は、1513年の大舎人座がという織物集団が早くもシルクの生産を始めており、約500年の歴史があります。着物はシルクで生産しますから「西陣織」と呼ばれて今は世界中でブランド化されています。

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織り方はもちろん朱子織り(サテン)です。朱子織りは編み方の構造上、平織りに比べて強度は落ちますがシルクの縦糸が美しく映えるのです。

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ついでに在庫切れ寸前だったチーフも追加生産。

43cm四方、フチ部分は職人の手でまつり仕上げを行います。この大きさがボリューム感の秘訣。

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あまり気にされたことないかもしれませんが、実はチーフのサイズ感は胸元をエレガントに彩る上で非常に重要なポイントのひとつ。

私共が使用する西陣のシルクは110cm幅、43cmですと2枚しか取れません。(結局24cmは捨てることになっちゃいます)。サイズを36cmにすれば綺麗に3枚取れてコスパは良いのですが、それでは大事なボリューム感が失われてしまう。 「量より質」を大事にするのがものづくりの基本であり、心の中で新郎様に自信を持ってオススメできないというのは我々のスタイルではありません。

その他貴重な帝人さんのテキスタイル歴史本も見せてもらいました。

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昔は英国の家紋がネクタイの柄としてひとつひとつネーミングがあり、その数百種類、、、帝人さんがコンプリートしてくださっていますが、ウチのストアマネージャー曰く「全然覚えられない」そう(笑)

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他にもバブル時代のペイズリーの柄。「これだったら今でも使えるデザインじゃないですか?」と聞いたらこちらはタキシードの腰に巻く カマーベルトに使われていたそう。派手すぎる腰回り(笑)

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今は後継者問題や生産の海外移転(アジアや中国)など職人さんや工場もどんどん減っている中、国内へのこだわりを持って生産を続けるのが現場でも難しくなっています。

しかし自分が考えるに、お金は「技術と美しさ」にこそ払う価値があります。そのこだわりと歴史がMADE IN JAPANというブランドを作り上げてきたわけです。今後もこの姿勢は変えずにいきたいと思っております。

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