1979年から日本でも創刊されたファッション業界人御用達の雑誌「WWD(Womens Wear Dialy)。 今では名称だけが残り、女性ファッション以外にも男性ファッションやアパレル業界ニュースなど多くの濃厚な情報を提供している雑誌で、スナップやパブ広告だらけの一般ファッション紙と違って毎回とても興味深いコンテンツを提示してくれます。(とか言うと殺されそうですがw)今回の特集がLGBTになると聞いていて、早速購入しました
そもそもLGBTというのは何なのか。「LGBT=レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー」 のことでいわゆるセクシャルマイノリティ(性的少数者)です。身近な例で言うと渋谷区がLGBT向けに区として初めて同棲パートナー証明を発行したことが話題になったので、意味は知らずともLGBTという言葉が世に出回り始めているということは、知っている方も多いかもしれません。
■Huffingpostの記事 http://www.huffingtonpost.jp/2015/03/31/shibuya-lgbt-applause_n_6974654.html
世の中にはオカマとかオナベという呼び方でテレビ等でエンターテイメントの一つとして扱われたり、新宿2丁目などに代表されるようにどこか「異国の地」「気持ち悪い」といったマイナスのイメージを抱くことが多く、実際にお茶の間を騒がせるのは、マツコ・デラックスさんだったりIKKOさんだったり、カバちゃんだったり・・・そういうどこか面白おかしく、また自分とは疎遠な人物というキャラクターとして認識されるでしょう。
もしLGBTに対してマイナスのイメージを抱いていたのであれば、最新号のWWDはLGBTに対する概念をより美しく、むしろ魅力的なものにさせてくれるかもしれません。
LGBTとファッション・芸術
もし読者の方でファッションが好き、という方がいらしたら最近のファッションのトレンドについて一度考えてみましょう。最近のキーワードはどうでしょうかね、「ノームコア」や「トランスジェンダー(ジェンダーフリー)」と言ったワードが浮かびます。
WWDの紙面でも
ノームコアというのはNormal=つまり普通なんですが、中性という意味もあります。デザインの華美さを排除し、ノーマルいわば普通な格好ということです(その中で上質さを求めるというのがこのキーワードの意味ですが) まあ、ジーンズや無地のTシャツなんかは男女問わず着用しますし、中性的なアイテムであり、ノーマルでもあります。
「トランスジェンダー(ジェンダーフリー)」という言葉がファッションで使われる場合、性別を超えたファッションのことで、女性が男性っぽい服をオーバーサイズに着る、男性が女性っぽいフェミニンな服を着る、もしくは男女どちらが着ても衣服から性別を判断出来ないようなファッションのことです。世界中のコレクションを見渡せば、このような洋服が大量に増加していることがわかります。
つまりファッションのトレンドはすでにジェンダーフリー(男女の境がなくなってきている)が起きている。
■ジェンダーフリーのファッションは一過性か?
これは一過性のブームなのかというと、そうではない、むしろ更に進んでいくであろうことは、このカルチャーを生み出しているデザイナー達を見ればわかります。
OPENERSというウェブマガジンで、デザイナーの信國太志さんが自身が留学していたロンドンのセントマーチン芸術大学の一幕をお話しています。
「有名デザイナーを輩出することで有名な学校です。卒業生にはアレキサンダー・マックイーン、ジョン・ガリアーノ、ステラ・マッカートニー、リカルド・ティッシ、キャサリン・ハムネット、ニール・バレット……きりがありません。」「中野:人種による差別や待遇の違いなどは感じましたか? 信國:いえ、それは全然なかったです。ただ、ゲイじゃないのは僕一人だったので、逆差別みたいのはあったかな(笑)。ゲイじゃないので遊んでくれないってことはあっても、みんな優しかったですよ。」
才能あふれるデザイナー達の多くは性的な境が段々希薄になり、洗練された美しさを求めるからなのか、本当にゲイやレズビアンの方が多いです。トムフォードやドルチェ&ガッバーナ、マークジェイコブス・・。
TOM FORD
MARC JACOBS
こちらはMARC JACOBSの広告ですが、本人がヌードで登場。(このページも面白かった!)
ちなみに、先ほど上げたLGBTの日本のお茶の間を沸かす方々ですが、マツコ・デラックスさんはナビゲーター、タレントとして天才的だし、IKKOさんはメイクの神、カバちゃんは振り付けの神です。
単なるお茶の間タレントではなく、圧倒的に優れた能力を持つ天才という側面を持っています。世の中にはそういった天性の素晴らしい能力を持つ人がたくさんいますが、芸術やファッションといった感性に訴える分野でLGBTの存在はとても大きいといえるのでは。
■ウェディングとLGBT
先日ウェディングパークの方と話していた中で、もしかしたらこの方達かな?という記事を紙面で発見しました。元デザイナー様のようでしたが、テキスタイルデザインが非常に独創的だなあと思いました。
自分たちTHE GENTSがLGBTのカップルのご衣装をプロデューサーするとしたらどうでしょう、ジャケットのお色だけを合わせてお仕立てしたり、同じジャケット&パンツでも蝶ネクタイのお色を黒と白に変えてみたり、二人でのコーディネートを作れるので腕がなりますね・・・w 感性あふれるお二人のご衣装を作る過程で私たちにもたくさんの刺激が貰えそうです。
少なくとも現状では街のウェディングサロンで貸し出しているギラギラの70’sのレンタルタキシードでは、そういったお二人の感性を満足させられないでしょう。 というわけで、THE GENTSではLGBTのカップルの方のご衣装もウェルカムですのでどうぞご相談ください。
今回のWWDの特集は大変興味深いので是非ご一読オススメします。 参考:http://www.wwdjapan.com/