最近、結婚式のオーダータキシードをお作りいただく新郎様に「ご希望のデザインございますか?」と伺うと、「ジェームズ・ボンドみたいなのがいい」というオーダーをよく受けます。
ジェームズ・ボンドこと007はタキシードの永遠のアイコンですよね。ワルサーを携え、アストンマーチンを乗り回し、時には片手にグラス、片手は女性の腰に…まさに全ての男の憧れであります。
さて本日ですが、来る12月4日に最新作007 SPECTRE(スペクター)が公開されることもあり、主演のダニエル・クレイグのタキシードをレビューしてみます。
007 -タキシードのブランドは?
イギリスの諜報員なのに、イタリアやアメリカのブランドをガンガン着こなすボンド。
2006年【カジノ・ロワイヤル】まではイタリアの名門:ブリオーニ(Brioni)のタキシードでしたが、2008年の【007/慰めの報酬】以降からはアメリカのデザイナー トムフォード(TOM FORD)にとってかわりました。
さらにマニアックな話をすると、前作の生地は英国の名門テイラーアンドロッジ(TAYLOR & LODGE)のカシミア&モヘア混でした。
今回の最新作 スペクターのほうでは生地は明らかになっていませんが、衣装はタキシード、スーツ、シャツ、アクセサリー、メガネに至るまで全てTOMFORD 。
昔はシャツなんかは英国の雄 ターンブル&アッサー(Turnbull & Asser )だったんですけどね。こちらもカジノ・ロワイヤル以降はTOM FORDに変わっています。高額すぎるスポンサー料が重しになったんでしょうか。
007 -タキシードのデザイン
前作の007 【SKY FALL(スカイフォール)】ではボンドはスモーキングジャケット由来のショールカラーのタキシードでした。
ショールカラーというのは、襟がヘチマの形をしたデザインでこちらはイギリスの貴族のリラックスウェアに由来したもので、スモーキングジャケットと呼ばれていたのです。
一方で今回のスペクターのほうは襟の形がピンと角が立ったデザインのピークドラペル。過去作を見ても、どうも交互に登場しているようですね。
ちなみにお色の方はというと、白のタキシードを着たのは007【ゴールドフィンガー】のショーン・コネリー以来。
007-タキシードデザインの詳細
どうやって紹介しようかと思っていたらジェームズ・ボンドのスーツのデザインなどをひたすら分析するサイトを発見しこちらの画像をお借りします。
左上から説明していきます。写真、白のものが見当たらず黒ですいません。
①光沢感のあるシルクでボタンを包んだクルミボタン
→こちらはオーダータキシードなどでは定番で、木や金属を生地で包んで作るボタンのことです。通称クルミボタン。ちなみにボタンの数は2つボタンですね。
②シングルベント(背中の切れ目)
→)背中に一本切れ目が入っているのがシングルベント。(写真左)通常タキシードではノーベント(切れ目無し)が定番なのですが、切れ目があるということは、諜報員のボンドらしく、動きやすさなどを重視してのものかと思います。
③ラペル(えり)はシルクを貼ったピークドラペル
→こちらは先程ご紹介したとおりですね。
④両玉縁のフタ無しポケット
→こちらもタキシードでは定番の蓋(ふた)無し(写真左)。
蓋がない理由は、パーティーなどではホコリやゴミが入らないからポケット蓋は不要という考え方です。
なお、こちらのジェームズ・ボンドモデルは TOM FORDのオンラインストアで販売中とのこと。
余談:その他のアイテムのブランド
【時計】オメガがオフィシャルスポンサー。(なんとスポンサー料は1000億円!!!)
【バッグ】トランクケースは相変わらずグローブトロッターで、リモワにはまだ出番無し(笑)
【靴】イギリス製のCrockett & Jones クロケットアンドジョーンズで前作から変わり無しですね。
最後に
今回のダニエル・クレイグのタキシードを見て思ったのは、「正統派なデザイン、着こなしに徹しつつもちょっとした遊びアリ」ということです。例えばボタンを2つにしてみたり、本来不要のベントを入れてみたり。そういった楽しみが007のタキシードには毎回あります。
007を見て、こんなタキシードで挙式してみたいと思った新郎さん、もちろん全く同じデザインも良いですが、THE GENTSの色も出していきつつ、一緒に最高のオーダータキシード作りましょう。
オーダータキシードに興味ある方はこちらも御覧ください。